空証文 2014 7 6
書名 「オバマの嘘」を知らない日本人
著者 日高 義樹 PHP
はたして、日本人は、いつまで平和ボケを続けられるか。
本来であれば、日本人は、ウクライナ危機を見て、
あわてなければならなかったのです。
この本から引用しましょう。
「ウクライナの非核平和外交は無力だった」
1994年12月5日、ウクライナは、
ソ連から分離独立した時に保有していた1900発の核弾頭を、
ロシア側に引き渡す条約に調印した。
この条約は、核拡散防止条約の一部として取り扱われ、
アメリカとイギリスが、
核兵器がなくなったウクライナの安全を保障することになっていた。
つまり、この条約は、核兵器を引き渡す代償として、
アメリカによってウクライナに安全と平和が与えられるというものだった。
これで、ウクライナは、
核兵器を持たず、
日米安全保障条約のもとで安全を保障されている日本と同じ立場になったのである。
(中略)
しかし、2014年、ロシアがウクライナのクリミア半島を占領した直後、
ウクライナ議会の議員は、アメリカのテレビに出演して、こう述べた。
「我々は、1994年の取り決めに基づいて核兵器を諦めたが、
あれは大きな間違いだったと、多くの人々が考えている」
(引用、以上)
世界の人々は、ウクライナ危機を見て、こう思っているでしょう。
「世界中の非難を浴びながらも、核兵器を開発した我が国は正しかった」
一方、核兵器を持たない国は、特に親米だった国は、
「たとえアメリカに反対されても、急いで核兵器を開発しなければならない」と思ったでしょう。
それに比べて、日本人は、平和である。
多くの国が、ウクライナ危機は、自国の危機でもあると、あわてているのに、
相変わらず、平和ボケの日々を送っています。
ところで、「空証文」は、「そらしょうもん」と読みます。
もしかすると、「からしょうもん」と読む人がいるかもしれません。
もちろん、多くの人が、この単語の意味は知っているでしょう。
ウクライナ危機を受けて、
日米安全保障条約も「空証文」になってしまったのです。
私は、2012年10月21日に、「一石二鳥作戦」という文章を書きましたが、
この作戦こそ、アメリカが参戦しにくく、
なおかつ、米軍基地がある日本を実質的に占領できる究極の作戦です。
一石二鳥作戦 2012 10 21
私が中国の軍事指導者だったら、南シナ海をどう考えるか。
「南シナ海を押さえてしまえば、
東南アジア諸国だけでなく、日本も支配できる」と考えるでしょう。
軍事的には、日本を占領する必要はなく、
南シナ海を押さえてしまえば、十分です。
後は、日本に中国の傀儡政権(親中政権)を作れば、
「事実上の日本占領」は完成するでしょう。
なぜか。
南シナ海とは、原油や天然ガスを満載した日本の船舶が通過する、
極めて重要な海域であり、日本の命綱と言えるからです。
その上、今(2012年当時)、日本は、
「脱原発」という原発ゼロ運動が盛んなので、
もし、この運動が長続きすれば(もちろん、長続きするように「工作」するでしょう)、
軍事的には、絶好のチャンスに見えます。
自然エネルギーが全く役に立たないのは計算済みです。
このようなエネルギーは、農業国ならばともかく、
工業用には、全く役に立たないのが見えています。
さて、ここで、「アメリカが助けてくれる」と思った人がいるかもしれません。
しかし、「それは、甘い」と言わざるを得ないのです。
オバマ大統領は、「南シナ海を守る」と決意したようですが、
アメリカが、いつまで、その決意を維持できるか怪しいのです。
将来、アメリカの財政が苦しくなった時、
「南シナ海を守ることは、
アメリカにとって、経済的な利益があるか」と考える大統領が出現した時、
日本は、苦しくなるでしょう。
つまり、軍事よりも経済を優先する大統領が出現した時、
日本は苦境どころか、日本存亡の危機を迎えるでしょう。
(そういえば、オバマ大統領は、ビジネスライクな人だと言われています)